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2002 年度 実績報告書

乳幼児における未知の動詞の推論メカニズムの研究

研究課題

研究課題/領域番号 12610091
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

今井 むつみ  慶應義塾大学, 環境情報学部, 助教授 (60255601)

キーワード動詞の獲得 / 動詞語意 / 言語発達 / 認知発達 / アクションの記憶
研究概要

名詞はすでに環境から切り出された事物を指示するものなのであるが、動詞の場合には切れ目のない連続的な一連の行為を分節し、単語に対応づけ、さらにそれを他の行為の事例に般用するという、名詞の場合よりもいっそう抽象度の高いプロセスが要求される。本研究課題においては、幼児の動詞の語意推論メカニズムを明らかにするための第1歩として、幼児がアクター、アクション、オブジェクトの3要素で構成されるアクションイベントに対して新奇な名詞、あるいは動詞が付与された場合、子どもがイベントのどの要素に名詞あるいは動詞をマッピングし、さらにどのような基準で般用を行っているのかを調べた。
幼児は少なくとも3歳になるまでには「ている」という形態素からの手がかりのみで動詞と名詞を区別できる。また、動詞は行為を指示し、名詞は事物を指示すること、動詞も名詞と同様、直接ラベル付けられた事例以外の他の事例に般用できることなどを理解していることがわかった。しかし、名詞の場合には3歳児でも事物のみに注目し、事物が用いられる動作を無視して般用することができたのに比して、動詞の場合にはアクションに用いられたオブジェクトが変わってしまうと同じアクションにも動詞を般用することができなかった。しかし、オブジェクトとアクションが同じで行為者のみが変わったイベントには動詞を般用することができた。このことから、動詞の学習(語意推論)は名詞の学習よりも困難で、特に年少の子供は、アクション自体は事物から分離して記憶できるにもかかわらず、動詞の意味と変数となる項を分離することが難しいとの知見を得た。続く実験では事物の類似性や既知度が、事物を動詞の意味から分離することに貢献し、子どもを動詞の語意理解にブートストラップするとの知見を得た。

  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] 今井むつみ, 針生悦子: "レキシコンの獲得における制約の役割とその性質"人工知能学会誌. 18(1). 31-40 (2003)

  • [文献書誌] Imai, M., Haryu, E., Okada, H.: "Is verb learning easier than noun learning for Japanese children? : 3-year-old Japanese children7s knowledge about object names and action"Proceedings of the 26^<th> Boston University Conference of Language Development. 1. 342-335 (2002)

  • [文献書誌] Haryu, E., Imai, M.: "Reorganizing the lexicon by learning a new word: Japanese children's interpretation of the meaning of a new word for a familiar artifact"Child Development. 73. 1378-1391 (2002)

  • [文献書誌] Gentner, D., Imai, M., Boroditsky, L.: "As time goes by: Evidence for two systems in processing space-time metaphors"Language and Cognitive Processes. 17(5). 537-565 (2002)

  • [文献書誌] Imai, M., Mazuka, R., D.Gentner, S.Goldin-Meadow (Eds.): "Re-evaluation of linguistic relativity: Language-specific categories and the role of universal ontological knowledge in the construal of individuation"MIT Press. 55 (2003)

  • [文献書誌] Imai, M, Haryu, E.(in Press)To appear in D.GHall, S.Waxman.(Eds.): "MIT Press"MIT Press(発表予定). (2003)

  • [文献書誌] Kobayashi, I., Furukawa, K., Ozaki, T., Imai, M., S.Arikawa, A.Shinohara (his): "A computation model for children's language acquisition using ILP"Springer-Verlag. 81 (2002)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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