1.ラットの回転輪走行行動に及ぼすナロキソン投与の効果 平成12年度に研究したIso(1996)で発見した、強化を無くした状況でも走り続けるという異常な回転輪走行行動をラットに学習させた後、ナロキソン(オピオイド拮抗薬)を投与し、その行動抑制効果を確認した。そしてそのようなナロキソンによる行動抑制効果は、学習性ではない自由走行や、回避行動としての走行行動では見られないことを示した。この成果は第65回日本心理学会(2001.11.7-9)で発表した。 2.マウスのactivity stress実験 平成12年度後半から13年度に研究した。上記の走行行動によく似た異常行動であるactivity-stressについてマウスを用いて検討した。第一実験では、C57BLとBALB/cの2系統のマウスを用いて、空腹によって走行行動が強められた結果、胃潰瘍や副腎の肥大などストレス症状が強められるactivity stress効果について検討した。単に絶食させた動物よりも回転輪走行を許された動物にストレス効果は強く発現し、その効果はC57BLマウスよりも情動性が高いBALB/cマウスに強く見られた。この課題は過労死や思春期やせ症の動物モデルとも考えられており、この成果は第61回日本動物心理学会(2001.9.23-24)で発表した。さらに第2実験として、C57BLマウスを用いて、activity-stressの発達過程についてストレスの日を追って検討した。ストレス病理効果は3日間にわたって段階的に進行し、マウスは死亡するまで過剰な走行反応を示すことが明らかとなった。この成果は第113回関西心理学会(2001.10.28)で発表した。 現在、これらの成果をまとめて、日本行動科学学会誌「行動科学」に投稿中である。
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