平成14年度には以下の2点について研究を行い、成果を日本統計学会、日本行動計量学会、国際分類学会(IFCS)で報告した。 (1)XMLで記述されたDDI(Data Documentation Initiative)形式およびDandD形式(慶応大、柴田ら)の統計メタデータ(調査データのコードブック関連情報)を容易に取り扱うことのできるPrologプログラム群を整備した。平成13年度に開発したシステムではPillowパーザ(マドリッド工科大)を用いていたがより整備されたJohn Fletcher(Binding.com Ltd.)によるパーザを利用するよう変更を行った。このプログラムによって以下の機能が実現された。 XMLの木構造からタグ階層や属性についての特定の条件を満たす部分ノードを選択する。 XMLで記述されたコードブックの内容を、ブラウザを用いた表示のためにHTMLに変換する。 XML中に埋め込まれたデータベクトルを数値として読み込み、統計処理を行う。コードブックの作成、編集についての機能は実現がまにあわなかったが、以上の機能によりXMLによる統計メタデータの利用が実用的なものとなった。 (2)グラフィカルモデルに基づく因果推論を支援するためのPrologプログラムライブラリを開発した。以下の機能を実現し、ソフトウェアを公開している。 統計的に同値なDAG(Directed Acyclic Graph)の類別 Judea Pearl(2000)に基づく、因果推論の識別可能性の判定と介入効果を推定する公式の自動生成 特に、介入効果公式の自動生成は、複雑な影響関係を持つモデルの利用において重要な役割を果たすと思われる。
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