研究課題/領域番号 |
12610105
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
山本 眞理子 筑波大学, 心理学系, 教授 (70166825)
|
研究分担者 |
宮本 聡介 常磐大学, 人間科学部, 講師 (60292504)
|
キーワード | 双方向的結果依存性 / 対人情報処理 / 評価的結果依存性 / ポジティヴィティ・バイヤス / 情報モニタリング法 / 比較文化 |
研究概要 |
研究計画を詳細に検討し、実験実施のために必要なパソコン用システムを作成した。その結果、研究の目的を明確に検証するためには3つの実験を行う必要があることを確認した。そのために、双方向的結果依存状態が対人情報処理に与える影響について、相手からの評価が明らかにされる前の段階と明らかにされた後の対人情報処理の段階の両者を3つの実験を通して検証していくことについて、詳細な計画を立て、理論的考察をおこなった。 まず、第1実験ではSteven&Fiske(2000)で示された一方向的結果依存状態でのpositivity biasが、日米で共通して生起するかどうかをSteven&Fiske(2000)が用いたのと全く同様の手続きを用いて確認する。第2実験では、第1実験で扱った状況が、双方向的結果依存状態でも、また実験の手続きとしてパソコンを用いた事態でも生起することを確認する。第1実験の事態では文化差は生じないが、第2実験の事態では、同様のpositivity biasは日米で共通して観察されるであろうが、それを生起させている動機には文化差があることを想定している。さらに、第3実験では、相手からの評価が明らかにされた事態を問題とすることとし、相手からの評価を独立変数(肯定的・否定的)として情報モニタリング法を用いて、評価が明らかにされた後の情報処理方略の日米差を検討する。対人情報処理に文化差が生じる理由について、文化的自己観の理論を参考にしながら、それを発展させた日米の自他関係の違いに関する理論的検討もおこなった。実験実施のためのパソコン用システムの作動性の確認と第2実験、第3実験の手続きなどの妥当性を検討するために、予備実験を実施した。その結果、システムの作動性は充分である点、双方向的結果依存状態でもpositivity biasが生起しうること、さらに相手の評価を知った後には日本人は自分に対する相手の判断に関する情報を集中して収集することなどを示唆する結果が得られた。
|