研究概要 |
一般化部分採点モデルの下位モデルとして部分採点モデルがある。本研究はこのテストモデルが教育・心理テストの開発に有効であると考え、一般化部分採点モデルに適用できる等化法の開発を行った。提案した等化法は(1)最小カイ自乗法、(2)カテゴリ特性関数法、(3)真の得点法に基づく等化法である。 一年目は、水平等化と垂直等化の条件を設定し、提案した等化法の推定精度をシミュレーション実験により検討し、いずれも十分な精度を持つことを明らかにした。二年目は等化法を実行するためのコンピュータ・プログラムを一般ユーザが利用できるように書き換えた。プログラムの仕様は、PARSCALEプログラム(Muraki & Bock,1993)の出力をほぼそのまま読み込んで(共通項目以外の推定値を削除したファイル)、等化係数を計算するようになっている。今後は、こうしたプログラムを一般ユーザに提供する予定である。 また、この研究期間において、項目反応理論について概観し、1・2・3母数ロジスティック・モデル(Raschモデルを含む)、多次元項目反応モデル(カテゴリカル因子分析モデル)の母数推定を行うプログラムと共通項目法に基づいて項目母数の等化係数を計算するプログラムを作成した。一方、Raschモデルは3母数ロジスティック・モデルの下位モデルとして位置づけることもできるが、Raschモデル独自の項目推定法も提案されている。以前から、そうした方法を用いてRaschモデルの母数を推定するプログラムは開発されているが、欠損値がランダムに生じる場合については対処できないことがわかった。そこで、欠損値がランダムに生じている場合にも利用できるプログラムを開発する準備を行った。
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