研究概要 |
故・佐治守夫東京大学名誉教授のカウンセリング・テープを分析することを通じて,カウンセリング・プロセスの本質を探究するにあたって,その理論的枠組みをRogersのクライアント中心療法(現在の呼称としては,パーソンセンタード・カウンセリング)に求めた。さらに,カウンセラーの具体的な応答に焦点をあてて分析する本研究の目的に合わせて,Proutyのプリ-セラピイ(pre-therapy)に基づき,応答技法としての「感情の反射(reflection)」を検討し,その新しい方向性を模索した。そして,「反射」という技法を「感情の反射」に限らず拡張して再評価することによって,パーソンセンタード・カウンセリングの技法論的展開のひとつとして位置付けた(論文『パーソンセンタード・カウンセリングにおける「治療的人格変化の必要十分条件」の技法論的展開』参照)。 次年度において,これを土台として佐治守夫のカウンセリング・テープにおけるカウンセラーのひとつひとつの応答を分析する予定である。なお,分析の具体的作業にあたって,本年度中にオープンリール・テープからカセット・テープへのダビングをすべて終えている。現在,順次逐語記録の作成に入っており,予備段階として公開されている『ゆう子のケース』(第5回と第9回の面接記録及びテープ)として知られる事例の公開されていない回のものを分析中である。
|