従来の異文化適応のための心理学的介入は、「医学モデル」的な対症療法が主であるが、本研究では「心理教育モデル」に基づいて、異文化適応能力を向上させる予防的介入法を開発することを目的としている。 今年度はそのプログラム作成に必要な情報を収集するために、質的研究法を中心とした調査を実施し、また異文化間ソーシャルスキル教育の概念的枠組みを明らかにするために、理論的研究を行った。調査対象者には、異文化滞在者として在米日本人留学生、在日外国人の児童生徒、在日のネイティブの英語教育者であるALT、研修で滞在する在日外国人をとりあげ、ホスト側として日本の小中学校教員の情報を加えた。 得られた情報を整理して、臨床社会心理学的な視点から「社会行動の文化差に対応する能力」をつけるセッション・プログラムの構成を行い、さらにセッションに用いる機材を購入して、予備的な教材作成に取りかかった。そして心理教育的セッションの実施方法を探索するために、在日留学生と、NGOで滞在する在日外国人を対象に、英語と日本語を用いて予備的セッションを試みた。
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