本年度は実験セッションのためのビデオ教材を作成した上で、対象者と期間の異なる3種類の心理教育的な実験セッションを以下の手続きに基づいて試行し、その様子と今後の課題を整理した。 1.実験セッションの準備 模擬演技のビデオテープ作成、印刷教材作成、実験補助者トレーニング 2.各実験セッションの対象者と期間 (1)国立大学の大学院生:1日5時限×4日間の集中学習 (2)NGOによる研修生:1日5時間×2ヶ月間に3回 (3)国立大学の大学生:週1回×3週間の連続講義 3.実験セッションの構成 (1)被験者:セッション参加者として在日外国人(Introdnction to Japanese Behavior Seminor参加希望者)。補助役に日本人。主トレーナーとして申請者。 (2)セッション時の評定:初回にベースライン、セッション期間中及び終了後にポストの自己評定。セッションはビデオに記録。ビデオ評定は、他者評価によるパフォーマンスの向上の指標として用いた。セッションの学習効果を測定する自己評定・他者評定のデータは、現在解析中。 (3)課題設定:日本での異文化適応を促すソーシャルスキルの中から、欠損スキルのアセスメントと参加者の学習ニーズをもとに、標的行動を定めて順次学習する。 (4)訓練技法:社会的強化を用いたセッションに、行動リハーサル、宿題、実施結果に関する討論、体験へのフィードバックを加えて、実際場面への般化を試みる。 (5)学習手続き:(1)課題設定の説明、(2)実演とその録画、(3)フィードバックと解説、モデリング(模範演技のまね)、社会的強化(賞賛など)、(4)再実演とその録画、(5)生活場面で実行してみる宿題スキルの設定(次回に成果を報告)、(6)グループワーク(適応に関する困難点の共有、討論、質疑)、(7)講義(日本文化の教材使用)。
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