研究概要 |
中学生の福祉ボランテイア体験学習を実施し事前・事後学習における介入のための体験プログラムの開発を行った。市内の中学生1年から3年まで30名を対象に,第2回全国障害者スポーツ大会に1週間ボランテイアとして参加させた。体験学習の事前と事後に独自に作成したワークシートと自己評価・作文を書かせた。その結果,福祉ボランチア体験では,充実感・喜び・興味・同情・希望といったポジテイブな感情体験をすると同時に,緊張や心配・不満・イヤな感じ・といったネガテイブな感情体験がともに経験され,自己に対しての気づき,障害をもつ人への気づき,ボランテイアへの気づきなどが喚起されることがわかった。このように体験によって,さまざまなネガテイブな感情も同時に体験されており,そこから気づきが生じることから,複雑な感情の体験の重要性が示唆された。 また事前学習において,具体的行動目標を多くイメージできた生徒ほど,体験後の認知的気づきが高まることから,事前の体験イメージの形成とそこにふくまれた自己のイメージが大切であることが示された。 事後学習においては,作文をかかせるより独自に開発した自己評価を含む振り返りワークシートを記入させるほうが多くの気づきを生むことが明らかにされた。今後様々な体験学習の事後指導で使用できるワークシートのさらなる開発が課題として残された。
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