第一に、地域社会の変動に関しては、金山町の集落の長期的な人口、世帯、農家構成の変化の分析を、住民基本台帳の補助台帳の時系列による転記作業と集計、農林業センサスの集落別データなどをもとに、おこなった。この30年間における集落の過疎高齢化と小規模化の程度と速度は、集落の規模、農業基盤(営農規模)、交通の利便性(町外通勤のための)の3つの要因に規定されていることがわかった。営農基盤の弱い、小規模な、交通の利便性の悪い遠隔集落ほど、高齢化と更なる小規模化が進み、集落機能が極度に低下し、分解の危機に瀕している集落もみられる。こうした集落では、家族構成は、小規模世帯化と高齢者のみ世帯化が極度に進行しているという共通性がみられる。 こうした際立った傾向を示さない多くの集落に置いては、先の3要因の他、集落の結合力(自治会などを中心にした行事や共同作業、生活維特活動、文化活動などをとおした共同性共同理念の有無と構成員のアイディンティティの有無)や活性度なども大きく影響していると考えられる。 また、分解傾向をもつ集落と持たない集落、その何れにおいても、地域リーダーの果たす役割は大きい。これらについては、集落へのアンケートや聞き取りによってさらに分析を進めて行く方針である。 第二に、こうした地域社会変動が内包している家族変動の分析については、継続中である。ひとつは、30年間にわたる住民基本台帳のデータに基づく、個々の世帯の変動の分析作業である。もう一つは、11年前におこなった就学児童・生徒を含む154世帯についての追跡調査である、これについては、3月に一部実査を行った。これら二つの調査については、次年度以降に本格的におこなう予定である。
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