今年度は、1)大学生を対象として、顔写真撮影、基本的顔面表情の録画を行い、当人のパーソナリティ特徴との関係を把握することを試みた。そして、次年度行う、顔の特徴と「表情」を統制した刺激に対する対人魅力の形成の検討に備えた。 1.男女の顔の写真(真顔)、ビデオ撮影(真顔-中性感情、快感情、不快感情)を行った(大学生を対象として男女50名)。 併せて、各人のPersonality test、社会的スキル尺度(暗黙の性格観の側面から取りあげられる外向性、神経症的傾向を測定するMPI、感情表出性-ACT)、自身の表出性についての評価を求めた。中性、快、不快表情条件については対象者に応じて順序相殺して撮影した。 2.静止画像をパソコンに取り込み、Martin法を主体とする形態的特徴の測定を複数者によって行った。 3.自己評価については、高ACT者(非言語的な表出スキルの高い者)は、快感情をより正確に表出できたと評価しているが、不快感情についてはこの関係は見られない。また、携帯特徴として40指標を超す特徴を計測し、その特徴とPersonality特性との関連性の検討を進めている。多変量解析的方法等を用いて、両者 の関連性を追求しているが、目に関連する複数の指標、顔下部の形態特徴が社会的外向性、神経症的傾向と関連することが示されている。なお、さらに、詳細な分析を進めている。 4.これらの結果を踏まえて、表情の豊かな者、乏しい者をACT表出性尺度の得点をも関連させて選択し、次年度の表情解読、顔形態特徴とパーソナリティとの関連性認知研究を実施する。 なお、初年度であり、未だ刊行物を示せないが、この結果については、7月のアジア社会心理学会(オーストラリア、メルボルン)、11月の日本社会心理学会大会(愛知学院大学)にて発表する。
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