研究概要 |
1.男女の顔の写真(真顔)、ビデオ撮影(真顔-中性感情、快感情、不快感情)を行った(大学生を対象として男女50名)。併せて、各人のPersonality test、社会的スキル尺度(外向性、神経症的傾向を測定するMPI、感情表出性-ACT)、自身の表出適否についての評価を求めた。 2.静止画像をパソコンに取り込み、Martin法を主体とする形態特徴の測定を行った。 3.自己評価については、高ACT者(非言語的な表出スキルの高い者)は、快感情をより正確に表出できたと評価しているが、不快感情についてはこの関係は見られない。また、形態特徴として38指標にのぼる特徴を計測し、その特徴とPersonality特性との関連性の検討を行った。 4.顔形態特徴とパーソナリティ特徴認知との関係 自己認知については、E尺度については、眉毛の間隔、目尻が上がっていること、下顔部の狭さ、短さと有意な相関関係が見られ、一方、N尺度については、大きな目、短い顎先と有意な相関関係が見られた。他者認知については、E, N推定得点との相関関係を検討すると、Eについては、口幅の大きさ、唇の薄さ(男女共通)、鼻幅の大きさ(女性)が、また、Nについては、眼角、顎先の短さ(男女共通)、唇の厚さ(男性)、鼻幅の狭さ(女性)が有意な関係を示していた。 自他認知評定との相関関係を比較すると、概ね対応関係は乏しい。なお、他者の推定Eは推定Nと負の有意な相関関係にあることが示された。 5.顔面表情と社会的スキル 高ACTは、快不快の表現力に優れた送り手であり、次いで解読者のACTも解読力に優れることを示していた。快不快評定、表出の適切さの両方で、快感情条件においてSPのACTの効果が大きい。男女を問わず、不快表情は、神経症的傾向と結びつけて認知されやすいものでもあった。
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