本研究の目的は、小学校高学年から中学生にかけての進学過程における児童・生徒の時間的展望と学校への心理的適応との関連について検討することである。 研究の初年度にあたる本年度は、4〜5月に、調査協力校を探すところから開始した。大学近辺のいくつかの市の教育委員会を通じて、調査を引き受けてくれる小中学校を依頼する作業は思った以上に難航し、結局のところ、3市にある4つの小学校と3つの中学校で調査実施が可能になった。 そこで6〜7月に第1回の調査をおこない、小学校4〜6年生1150名、中学校1〜3年生1109名の調査データを収集した。調査内容は、毎日の生活の様子、自尊心、学校での勉強や友だちのこと、不定愁訴、時間的展望などであった。得られた結果から、学年とともに、(1)勉強・手伝いなどの活動が少なくなり、(2)自己評価が低くなり、(3)授業の理解度や意欲が低下し、(4)イライラやストレスが多くなり、(5)空虚感が増して、見通しが持ちにくくなる、という傾向が見られた。このことから、小学生に比べて中学生の方が、自分自身の現在の生活や未来に生活に対して、ネガティブな感情や意識を持っていると言えるのではないかと考えられた。学校別にも分析をおこない、特徴を抽出し、その結果を個別の小中学校にレポートして報告した。 次に、2〜3月に第2回の調査をおこない、現在、回答済みの調査用紙を回収している最中である。調査内容は、第1回の調査とほぼ同じ項目である。2回の調査結果を比較し、小中学生の意識の短期的な縦断変化を分析する予定である。
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