高齢者が「求めるユーモアのタイプ」と高齢者の全般的な「ユーモアのセンス」について、その年代による変化と性別の差を、福岡都市圏に在住の50歳代から70歳代までの男女計240人と、比較対照のための大学生男女計318名(平均年齢19.5歳)に対する調査によって明らかにした。 まず16種類の一コマ漫画全体、さらにその16種類のなかの攻撃性や性欲求の傾向性の強い一コマ漫画、ユーモアのポイントを見つける問題解決をより必要とする不調和な一コマ漫画、高齢者を否定的に扱う一コマ漫画に対する「好み(感じるおかしさ、ユーモアの程度)」の評定についてみた。いずれの一コマ漫画に対するユーモアの感じ方についても性差はみられなかったが、50、60、70歳代の高齢者が若年者よりもおかしいとみなすという有意な年代差がみられた。また全般的に一コマ漫画を「わからない」とせずにユーモアの評定をした人、言い換えると一コマ漫画を理解したと思われる人の割合は、知的ユーモアの好みに関する男性の優位性が言われてきたことに対応して、若年から高齢に至る年代を通じて男性の方が女性より有意に多かった。またこの理解率については高齢者が若年者よりも高いという有意な年代差がみられた。 次に全15項目から構成される調査表によって「ユーモアのセンス」の自己評定を求めた。因子分析によって抽出したユーモアや笑いを特に対人関係において用いようとする傾向である「ユーモア・笑い志向性」、また新聞の漫画、ことわざ、川柳などに対する「ユーモア媒体志向性」という二つのユーモアのセンスの側面については、女性が男性より有意に高かった。また高齢者は若年者よりも「ユーモア・笑い志向性」については有意により低く、「ユーモア媒体志向性」については有意により高かった。
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