研究概要 |
高齢者の死の準備学習支援プログラムを作成するために,本年度は高齢者の死の準備状態の把握を行った。現在はほぼ健康な生活を送っている高齢者が行っている自身の死の準備調査を実施した。対象は0老人大学の受講生である。受講生を学習曜日により2群に分け、講義前調査群(約280名)はまず死の準備に関する集合質問紙調査を行い、その後死の準備についての90分の講義を行った。講義後調査群(約290名)には90分の講義を行い、その後死の準備調査を行った。調査対象受講生は男女が約半々で平均年齢66歳だった。希望する死亡場所は46%が自宅で最も多く、次いで病院の24%であった。死の話題は,尊厳死や延命治療については90%、病名の告知は82%が話をしていた。その話し相手は大多数が配偶者であった。一方,自分自身の死が避けられない時の希望は、61%が家族にそのときの対応を伝えており、さらにそのうちの70%が真実を言って欲しいと伝えていた。また,自身の希望する死亡場所は58%が伝えていた。このように一般的な話題としての死や、情報としての死についてはかなり家族と話したり情報交換をしているが、自身のことについては対処率が減少していた。死の準備行動として実施頻度が高いのは、残される家族の経済面や住居の問題への対処(63%)であり、実施頻度が低いのは預金や保険について伝える(21%)、やり残したことへの取り組み(14%)などであった。講義の時期による準備の差異については現在分析中である。 さらに自身の死について参加者で考えを述べ合ったり,医療者に終末期医療のさまざまな現状を聞き集団で討論を行って、自身の死についての準備学習を促進するプログラムを計画し、老人大学の受講生(講義前調査群)に参加希望を呼びかけたところ、83名の希望者を得た。現在、ワークショップの準備を行いつつあるところである。
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