昨年度の老人大学における高齢者への死の準備についての講義後に、『私の望む最期までの生と看取り』に対するワークショップへの参加者を募り、1ヶ月後に2回のワークショップを実施した。出席者は39名(男性15名、女性24名)、5グループに分け、各1名のファシリテーター(心理学専攻あるいは看護学専攻の大学院生)がついた。プログラムは、1日目:「死の準備の現状と課題」についての約20分の講義後に、自分の死の準備についてグループで自由討論後、発表を行った。第二セッションは「家族・医療者への自分の意思の伝え方」の講義後、医師、患者、家族の役割でロールプレイを行い、他者に自分の意見を伝えること、他者の意見を聞くことや変容させることについての体験学習、発表を行った。一週間後の2回目は「病院・在宅・施設での様々な看取り」についての現状を講義後、自分の考える望ましい看取りについてグループ討議を行った。第2セッションは「自分で決めるいのちの終わり」についてホスピスの医師による講演と質疑応答を行った。ワークショップの実施前後に調査を実施し評価を測定した。参加動機(複数回答)は先月の講義内容をさらに詳しく知りたい(23名)、新しい情報を得たい(21名)、他人の死の思いや看取りについての話を聞きたい(17名)で、死についての情報を求めていることや死についての身近な話し合いが少ないことが示された。先月の講義後に行った死の準備では、家族に話す必要を感じた、これから考えていかねばならない、遺言状を書いた、死に関する新聞などの情報を切り抜くようになった、大切なものの保管場所を決めた、本や身の回りの整理をしたなど、気持ちの面でも行動面でも変化が認められた。ワークショップ後の評価では有用な情報が得られた(82.4%)、他人の話を十分に聞けた(88.2%)、自分の思いを話せた(79.4%)など大多数が話し合いに積極的に参加していた。自由記述による感想からは重いテーマであるが直視できた、話す機会の少ない話題なので良かった、心構えができた、地域に戻って老人会で話してみようと思ったなどが述べられ、全体としての満足度は満足79.4、不満足17.6%で、参加型学習として一応の成果を得られたと考えている。
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