研究課題/領域番号 |
12610160
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研究機関 | 国立特殊教育総合研究所 |
研究代表者 |
篁 倫子 国立特殊教育総合研究所, 病弱教育研究部, 室長 (10280570)
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研究分担者 |
上野 一彦 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (20012578)
原 仁 国立特殊教育総合研究所, 病弱教育研究部, 部長 (40120034)
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キーワード | 学習障害 / 評価・判断手法 / Learning Disabilities Inventory |
研究概要 |
米国で出版されているLDDI:Learning Disabilities Diagnostic Inventory(1998,Hammill)は学習障害あるいはその周辺の問題を持つ子どもを評価、判断する診断的質問紙テストである。テストは学習障害の中核の問題となる聞く、話す、読む、書く、計算する、推論するの6つの尺度で構成され、教師、学校心理士、あるいは言語療法士等の専門家によって評定される。このLDDIを翻訳し、その内容について検討した結果、質問項目の多くは我が国で理解されている学習障害の特徴や臨床像を捉えていると考えられた。同時に、言語の違いと教育課程の違いから、質問項目の変更や修正を加えることも明らかに必要と判断した。 学習障害の研究および実践で業績の著しく、日本の教育事情にも明るいDr.Sharon Vaughnの指導助言を得た。学習障害を拾い出す際の特に鍵となる特徴、問題につき助言を得た。また、日本版を作成する場合、我が国での学習障害の臨床像の捉え方の特徴を考慮すると、6つの尺度に加えて行動上、社会性の領域を設ける可能性があるが、これについては注意欠陥多動性障害のある子どもとの重複、および判別の必要性を指摘された。 本邦で出版されているスクリーニングテスト以外に、この領域の研究者あるいは都道府県の教育センターなどで試作、活用されている学習障害に関する質問表なども検討した。中でも、学習障害児と健常児あわせて300人余りを対象にして検討された、海津(2000)の学習領域スキル別つまづきチェックリストは、信頼性の検討が必要とされるが、基礎学力のつまづきの発見には有用であると思われた。海津氏に研究協力を依頼し、LDDIの内容を基に、学習領域スキル別つまづきチェックリストと突き合わせて協議を重ねた。 その結果、聞く、話す、読む、書く、計算する、推論するの基礎的学力に加え、行動面、社会性の2領域を加えて、各領域15項目から20項目からなる仮称Learning Disabilities Inventoryを作成した。 13年度早々に学習障害児および健常児を対象としたパイロットスタデイを行い、項目の妥当性を検討する。
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