研究課題/領域番号 |
12610161
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研究機関 | 独立行政法人国立特殊教育総合研究所 |
研究代表者 |
土谷 良巳 独立行政法人国立特殊教育総合研究所, 重複障害教育研究部, 室長 (00142000)
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研究分担者 |
菅井 裕行 独立行政法人国立特殊教育総合研究所, 重複障害教育研究部, 主任研究官 (90290890)
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キーワード | 盲ろう / 視覚聴覚二重障害 / ネゴシエーション / コミュニケーション / 言語行動 |
研究概要 |
1)視覚障害、聴覚障害の状態がそれぞれ異なる4名の先天性盲ろう児を対象とし、ネゴシエーションに関する臨床的・実践的資料収集を行った。 事例N(盲・中度難聴、5歳、保育園):19セッション(資料収集1が14セッション、資料収集2が5セッション) 事例J(弱視・ろう、6歳、盲学校幼稚部):18セッション(資料収集2が18セッション) 事例D(強度弱視・ろう、12歳、盲学校小学部):44セッション(資料収集1が44セッション、資料収集2に関しては10回訪問したがビデオ映像は記録できなかった。) 事例M(盲・高度難聴、4歳、通園施設):16セッション(資料収集1が16セッション)、の資料収集を行い、1セッションあたり2時間から3時間分のビデオ映像記録を収集した。(注:資料収集1:国立特殊教育総合研究所での教育相談の場面で、研究分担者が対象事例と直接の係わり合いをもち、その場面をビデオ映像に記録した。心資料収集2:対象児が所属する機関を訪問し、担当者が対象事例と係わる場面をビデオ映像に記録した。 1-1)事例Nと事例Dに関していくつかのエピソードからネゴシエーションの同定を行った。その際そのプロセスをビデオ分析により詳細に検討し、報告書において「盲ろうの子どもとの教育実践としてのネゴシエーション-事例研究-」のなかの「2.事例研究」における「ネゴシエーションの同定とエピソードの微細記述:事例N、事例Dとの係わり合いから」として報告した。 1-2)事例Jに関して、ネゴシエーションにおける子どもの身体的表出に対してなされる係わり手からの表出確認の際の問題を取り上げ、同様に「2.事例研究」における「ネゴシエーションをめぐる諸問題:1.ネゴシエーションにおける表出確認の二面性:事例J」として報告した。 1-3)事例Dに関して、ネゴシエーションが生じる下地条件としての、子どもと係わり手との間の身体接触に関して、同様に「「ネゴシエーションをめぐる諸問題:2.ネゴシエーションの下地としてのやりとり、「手の動きの共有」:事例D」として報告した。(事例Mに関しては成果としてとりまとめるには至らなかった。) 2)国際盲ろう連合コミュニケーションネットワークメンバーである、ベルギーのMarlene Daelman女史を平成13年3月に訪問し、またデンマークのInger Rodbroe女史を平成14年2月に訪問し、ビデオ映像に記録したネゴシエーション場面に関して、ネゴシエーションとして特定することの妥当性、及びエピソード記述における技術的問題に関して意見交換した。併せてヨーロッパにおける盲ろう教育に関してネゴシエーション研究の研究史的検討を行い、本報告書において「盲ろう教育とネゴシエーション研究-その背景-」として報告した。
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