研究概要 |
学習障害児は全般的知能は正常だが「読み」や「書字」など特定の能力のみが障害されている先天性障害と考えられ、われわれの局所脳血流量を測定した研究では局所性の大脳機能障害が認められていた。しかし、その実態はまだ明確でなく、学習障害児の出現頻度や科学的根拠に基づいた効果的なトレーニング方法についてはほとんど報告されておらず、多くは定性的な報告である。その大きな原因の一つに簡便かつ標準的な検査方法が確立されていない、という現状が有ると思われる。 研究初年度の平成12年度は、下記に示した検査バッテリーの作成を中心に行った。研究第2年度の平成13年度は、健常児658名の標準値を作成した.また、公立小学校にて2,4,6年生各20名ではあるが言語機能検査である標準失語症検査の小児用標準値の作成を終えた。英国での認知神経心理学者であるDr.Wydellとの打ち合わせ会議(4月ロンドン、12月日本)や学会発表(4月ロンドンでの英国神経心理学会、日本小児神経学会、日本失語症学会、日本音声言語医学会など)を通して、統計手法データの解析に関して修正を加えた.研究最終年度の平成14年度は、検査バッテリーを実際の学習障害児に適用し、妥当性が認められることを確認した。 検査バッテリー 1)約5分で可能な成人用知能検査(レイブン色彩カラーマトリシス)の小児用標準値の作成 2)ひらがなとカタカナ一文字の音読と書字(それぞれ20文字)課題 3)共通の単語を用いての漢字、ひらがな、カタカナの書字および音読検査(それぞれ20単語) 4)標準抽象語理解力検査の作成(インテルナ出版から2003年2月に発売開始予定) 5)加減算10問の標準値作成 6)ディープテストとしての標準失語症検査の小児用標準値の作成
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