本研究は、伝統的政治規範が根強い地方都市における女性の政治参加の可能性を検討するための事例研究として新潟県を事例対象としている。本年度はまず、95年・96年の2カ年に亘って行った新潟県女性地方議員実態把握調査のデータベース化によって女性議員を類型化し、次年度の集中的ライフコース調査の対象事例の選択を行った。そこでは類型化のための基準として地域特性、家庭環境、学歴コース、就職状況等の変数を選択し、検討を行った。 次に、本研究代表がメンバーである「女性と政治研究会」(代表天野正子御茶ノ水女子大教授)において行った95年全国女性地方議員調査結果、99年調査の結果の再検討を併せて行い、同県女性議員の「地方」女性議員としてもつ平均的特徴と、同県独自の要因を峻別した。これらの検討の結果、「地方」の状況が必ずしも一様ではなく、比較対照地域が新たに選定する必要があることが確認された。そこで、95年当時新潟県同様の女性の政治参加レベル(95年当時都道府県別の地方議会における女性議員比率が2%以下)でかつ都道府県議が0)にあった岩手県も事例対象地域に加え、考察を加えることにした。現在、ライフコース調査の対象事例の選択を検討するための基礎的資料を収集するとともに、一部女性議員への予備的インタビュー調査を行い、その結果の検討中である。また、「地方」の状況を明らかにするために大都市圏(東京圏)の女性議員についても基礎的資料(基礎的統計データ、既存の調査データ)を収集し、その実態把握を進めている。
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