男性議員と女性議員とのライフコースの違いは輩出ルートの違いが大きい。男性議員の場合は町内会・自治会等の地域既存集団、地域の経済団体・企業、労働組合が圧倒的であるが、女性議員の場合は政党、既存集団以外の地域活動(教育・福祉)、消費・福祉・環境保護・女性地位向上等の市民活動によるものが多い。ただし、後者においては市部と町村部とでは異なり、町村部においては「地域婦人会活動」「町内会・自治会の役員活動」の経験を経てのパターンが多くなる。ただし、指摘されるところであるが、男性議員と違い女性議員の場合は地域の支持(=地区推薦)は得られないことが多い。また、年齢では女性議員は50代、40代が多く、男性議員は50代、60代が多い。前者の場合は生活上の何らかの課題認識から立候補に至る場合が多いが、後者の場合は一定程度の人生目標を達成した後の「名誉」職として把握する向きがある。学歴(高学歴)、居住歴等(地付き・出戻り)にはあまり差異はない。政治的社会化では女性議員の場合に効果が見られるようだ。 大都市圏と地方の地域差に関して政治的社会化に関して言うと、地方では第1次的社会化、大都市圏では2次的社会化の側面が強い傾向がある。輩出ルートも(政党が最も多いのは共通しているが)大都市圏の場合は消費・福祉・環境保護・女性地位向上等の市民活動が圧倒的に多い。 以上の検討から「地方」において女性の政治参画を促進する諸条件を考えるならば、地方における各種市民活動の活性化、2次的社会化の装置の構築などが考えられる。 以上のシステム化の可能性を考察するためには、既にシステム化が一定度具現化している地域への事例調査(行政・女性議員等への聴き取り調査)が不可欠であり、これが今後の研究課題である。
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