今年度は、全国主要都市の家庭裁判所の家事相談窓口ならびに女性センターの相談窓口の実態調査、広島県弁護士会所属の弁護士に対する業務活動の実態調査を実施した。 「司法統計年報」にみられるように、家事相談の件数は増加してきている。相談窓口の役割が注目される。家事相談は機構的には今日、プライバシーを重んじ個室での対応が一般的となってきている。福岡家裁のように、DVにかかわるものについて、特別室を用意しているケースもある。また、家事相談受付用紙にしても、付票をつけたり、DVについてはさらに特別の付票を用意するなど、きめ細かい対応が見られる。相談時間も、東京家裁のように週三回開設しているケースもみられるが、一般的には週一回あるいは月一回であり。実施していないケースもある。低調な理由は、利用が少ないことにあるが、開設時間が5時からと、勤務時間と重なる点が大きいと思われる。相談内容は、調停制度の仕組みにかんするものが多いが、DV相談、さらには離婚の可能性についての相談がみられる。女性センターは、近年、相談窓口を充実しており、離婚問題をかかえた女性にとって心強い援助機関となっている。具体的には、一般相談あるいは総合相談と法律相談の二部門を設置しているが、ともに夫婦関係の相談が圧倒的に多い。ただ前者は、DVについての悩みや離婚の相談であり、後者は離婚意思が固まった上での親権や慰謝料など法律問題の相談である。 弁護士調査は、272サンプル中132票の回収(48.5%)。一般業務では、経済不況を反映して破産問題がもっとも多いが、次に多いのが離婚問題である。手続き的にみると、協議や調停においても弁護士の関与は大きく、離婚問題の処理にはたす弁護士の役割が注目される。
|