研究課題/領域番号 |
12610185
|
研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
畠中 宗一 大阪市立大学, 大学院・生活科学研究科, 教授 (10141855)
|
研究分担者 |
中井 孝章 大阪市立大学, 大学院・生活科学研究科, 助教授 (20207707)
堀 智晴 大阪市立大学, 大学院・生活科学研究科, 助教授 (50047403)
新平 鎮博 大阪市立大学, 大学院・生活科学研究科, 教授 (50171369)
岩間 伸之 大阪市立大学, 大学院・生活科学研究科, 講師 (00285298)
|
キーワード | 子供のウェルビーング / ヘルシーファミリー / 富裕化 / 私事化 / 依存機能の再評価 / 家族の情緒的つながり / 居場所 / 家族の凝集性 |
研究概要 |
本年度の研究は、子どものウェルビーングを測る指標作りから始まった。既存の研究や文献、具体的にはQOL指標やCHQ、健康調査票等を参照し、尺度を作成した。そして、本研究課題に基づき、作成したウェルビーング尺度を従属変数とした分析枠組みを設定し、その枠組みをもとに調査票を構築、調査を実施した。本年度の調査対象者は、京都と沖縄の中学1年〜3年生であった。京都での調査は、公立中学校において45名、私立中学校161名、国立中学校293名、沖縄での調査は、公立中学校3校113名で、総計712サンプル(女子329)を得た。本年度の調査で得られたことを、現段階で記述できる範囲で以下に述べていく。まず、ウェルビーング尺度に関しては、いずれの調査においても尺度要件を充たす安定したα係数が得られ、信頼性の十分保証された尺度が作成できたといえる。また、因子構造に関しても、多少の差は見られるものの、類似した因子が抽出された。ウェルビーングの因子構造は、「身体的健康」・「精神的健康」・「自尊心」・「友人関係」・「無力感」・「学業」・「学校適応」・「将来への希望」からなっている。次に、子どものウェルビーングを従属変数とした一元配置分散分析の結果からいくつか興味深い知見を挙げると、母親の就労の有無によってはウェルビーング度に有意差は認められなかったが、子どもの帰宅時に家に誰もいないことは影響があること、子どもが楽しいと感じる「居場所」について、「どこも楽しい場所はない」と答えた子どもは、どこかに居場所を持つ子どもよりウェルビーング度が低いこと、子どものウェルビーングには、家族との情緒的つながりや家族の凝集性が強く関連していること、さらに家族の価値志向性が、個人に重きをおくよりも、家族成員が互いを思いやる「配慮型」の家族に育つ子どもの方が、子どものウェルビーング度が高いことが明らかとなった。
|