1.研究の目的・課題 本研究は、日本と中国における、福祉改革の一環として取り始めた非営利組織(NPO)の福祉サービス参入のあり方に関する日中比較研究である。前年度は、歴史的な視点で中国の非営利組織の特質を追究するために、1930年代から現在まで中国の非営利組織はどのようにたどってきたか、諸国と比較すればどのような特質をもっているか、これからの行方がどうなるかについてまとめました。今年度の研究は、現地の実態調査を重点において、研究計画設定した調査範囲より幅広く調査を行った。これに合わせて文献調査にも力を入れた。調査範囲が広がりすぎてまとめにくいという反省点があったが、今後の研究に役立つと確信することもあった。 2.実態調査の実態 北京大学、精華大学、国務院経済計画委員会アメリカワシントンDCにある全米退職協会などを訪ね、この機関に所属しているNPO研究センターや研究グループと意見交換を行いながら資料、データ収集を行った。また、上記の研究機関が主催したシンポジウム、研究会で研究成果を発表した。 3.実態調査研究の意義について アジア地域におけるNPOに関するテーマの研究はまだ不十分と言わざるを得ない。本研究は利用者主体や市民参加の新しい連帯意識とアジア独自な福祉文化との関連を検討する上で、福祉民営化の方向性を提示することを主なねらいにしたいと考えている。このような調査及び報告会を通して、日中両国の情報を伝達する役割だけでなく、現場と研究の間に連動関係をも結ばれている。 この橋渡る比較研究の成果は中国政府らのNPOに関する政策に反映できる可能性が十分にあると言え、日本に対しても有益な影響を与える。 この実態調査の研究結果は、ぞくぞく専門雑誌に投稿する予定がある。
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