研究概要 |
本調査は、後期中等教育段階における障害のある生徒をテーマとした全国実態調査(盲・聾・養護学校は除く)である。しかし今回の調査では、特に身体に障害のある生徒を直接の調査対象としており、状況把握が困難で、とくにプライバシーとの関連で極めて慎重な取り扱いが必要とされる学習障害・情緒障害・知的障害などの生徒については、別の研究課題にしたいと考えている。 具体的な調査の内容は、各高等学校の属性のほか、「障害のある生徒の入学試験」に関わるもの、「障害のある生徒の在籍」に関わるもの、「高等学校における施設・設備・備品」、「障害のある生徒に対する配慮」、「障害のある生徒を支援する人や組織」。また「障害のある生徒の進学や就職」に関わるものが中心である。それぞれの質問項目は、障害の種別(肢体不自由、視覚障害、聴覚障害、病弱・虚弱)やその程度(重度、中軽度)に分かれているのが特徴である。これは障害の種別や程度によって、各高等学校での対応に大きな違いが見られると考えたからである 調査対象校は文部科学省「学校基本調査報告書」(平成11年度版)をもとに選定され、特殊教育諸学校(盲・聾・養護学校)と通信制の高等学校を除いた、全国の全日制高等学校(4,603校)と定時制高等学校(176校)、および全日制と定時制の併置校(702校)が含まれており、その総数は5,481校である(ただし、全日制と定時制の併置校には調査票を2票ずつ送付しているので、実際の調査票配布数は6,183票となる)。具体的には国立大学附属の高等学校(17校)、都道府県立の公立高等学校(3,882校)、市(区)立校(228校)、町立校(23校)、村立校(10校)、組合立校(5校)と私立の高等学校(1,316校)である。 本報告書では、調査項目の分析的処理を中心とし、われわれの主観的な判断の混入を最小限に抑えることをひとつの目的とした。そのため、集計結果のほとんどは、調査から得られた回答をそのまま度数分布表(単純集計)に表したものとなっている。これは、後期中等教育における障害を持つ生徒の実態を、なるべく客観的に提示することを意図した結果である。
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