平成13年度は、昨年度に引き続き、「沖縄タイムス」「宮古新報」「八重山毎日」の沖縄県の3地域の主要日刊紙をサーヴェイしながら、沖縄の環境対策の動きを追跡するとともに、夏期休暇期(7月)、秋期(11月)、冬季休暇期(12月)、春期休暇(2月)にフィールドワークを行い、行政や焼却場でのヒアリングを行い、また活動家から情報を集めた。県を中心とした「ゼロエミッション沖縄」構想は、モデル地区の宮古地区で進められているはずだったが、実体は宮古支庁で職員1名で実施計画が練られ、地元市町村と密接に作業を進めて行くようにはなっていなかった。宮古では、ゴミ処理の広域化と新しい焼却炉の選定で揺れており、これと「ゼロエミッション」構想とは直接はリンクしていない。また、八重山では「ゼロエミッション計画」は、コンポスト製造器の分配に終わっており、この構想が拡大発展し実を結ぶにはまだ時間がかかりそうだ。風力発電に関しては、宮古においては送電基盤の弱さ、火力発電との調整の難しさ等で、台風の常襲地帯といえども、風力発電を中心にした発電は不可能である。沖縄本島では、かつて複数あった電力会社の送電システムが複雑で、風力で系統発電できる状況にはない。水の保全については各島非常に条件が違う。モノの循環では、相変わらずモノが搬入・消費・投棄が主流で、一部リサイクル化の動きがあるが、総体としては循環できていない。まだ、循環型社会形成に地域社会全体が向いていないように見える。しかし、ゆっくりとではあるが、環境への認識は学校教育の現場や行政の当局者には、はっきりした形で存在している。今後は点の意識をどのように線に、そして面にリアリティを持って広めていくのかが、大きな課題であろう。
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