研究課題/領域番号 |
12610198
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研究機関 | 大妻女子大学 |
研究代表者 |
前納 弘武 大妻女子大学, 社会情報学部, 教授 (60123030)
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研究分担者 |
炭谷 晃男 大妻女子大学, 社会情報学部, 助教授 (90196915)
松下 育夫 静岡精華短期大学, 国際文化学科, 教授 (80157297)
飯田 良明 千葉経済大学, 経済学部, 教授
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キーワード | 情報化 / 技術と組織 / バーチャルな情報空間 |
研究概要 |
平成12年度は、今後3年間の全体計画の策定と、技術と組織の相関性に関する実証研究のための方法論に関する検討を行い、主として以下の論点についての解明を進めた。第1に、そもそも情報化とは何か。この点については最近の研究成果をフォローし、わが国における情報化という現象がテクノロジーの浸透とディスクールの浸透という2つの側面から成り立っているという理解に達した。しかしこの把握は情報化に関する全般的な理解であるため、実証的な研究に移すには次のような作業を要することとなった。すなわち第2に、基本的に組織にとっての情報化(またその影響)は、どのような指標によって把握できるのかという問題。さらに第3に、コンピュータがつくる情報空間の独自性をどのように理解するのかという問題。第4に、コンピュータによってつくられる情報空間の共有システムづくりの現状を捉えるための方法的な問題。今年度は、主に以上の論点に関する議論を深めてきたが、この種の問題に触れざるをえないのは、これまでの研究においては、情報化の影響というものが、組織への影響なのか個人への影響なのかそれとも全体の社会システムへの影響なのか、この3つのレベルを明確に区別しない議論が多いという事情によるものである。そのため本研究では、組織に対する情報化の影響を改めて実証的に明示するために、いくつかの指標の設定に向かわざるを得ないということとなった。それに基づくフィ-ルドワークが次年度の具体的な課題ということになるが、今年度の成果を簡潔に要約すれば、組織にとっての情報化の成否は、コンピュータが構成する情報空間それ自体はバーチャルな性質を持ちやすいため、組織としては、如何にしてその仮想性からの脱却を図るかということが肝要という事実である。その成果の一部は、「情報社会について考える-コンピュータが作る情報空間の特質をめぐって」という小文にまとめた。
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