研究課題/領域番号 |
12610198
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研究機関 | 大妻女子大学 |
研究代表者 |
前納 弘武 大妻女子大学, 社会情報学部, 教授 (60123030)
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研究分担者 |
炭谷 晃男 大妻女子大学, 社会情報学部, 教授 (90196915)
岩佐 淳一 茨城大学, 教育学部, 助教授 (10232646)
飯田 良明 千葉経済大学, 経済学部, 教授
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キーワード | 情報化 / 情報社会 / 情報ネットワーク / インターネット / 意思決定 |
研究概要 |
今年度は、最終年度であるため、過去3年間の総合的な取り纏めを軸にして、主に以下の3点についての検討を実施した。そのひとつは、様々な技術のなかで「情報技術は、それを導入しようとする組織それ自体の変容を強いる類の技術である」という仮説の検証作業に関わる課題であり、第2は、「情報化」概念の精緻化に関わる課題であり、第3には、「情報化」の実態を特定の企業組織において把握する作業に関わる課題である。この3つの課題いずれも、第1の基本仮説に導かれる形で、具体的な研究作業を実施してきたが、一連の展開のなかから得られた知見は、何よりも、情報技術と組織内部の意思決定プロセスとの関連性についての知見である。すなわち、情報技術の導入は組織内部においては何よりも組織的な意思決定のスピードを速める方向に作用しており、特に、企業組織においては、情報技術が生産性の向上に貢献するという一般的な見方も否定できないものの、それ以上に、情報技術は組織内意思決定のスピードを高めており、その効用が逆に生産の効率性の向上に関連しているという一面が明らかになった。また、現代の情報技術の具体的形態でもあるインターネットは、組織間コミュニケーションのあり方においても、大いにその変容を迫っており、個人間コミュニケーションにみられるいわゆる「顔の見えない交流」は、組織レベルにおいてもある種の「不安」を引き起こしており、「信頼関係」構築の困難性が組織活動の現代的課題に浮上しつつあることが明らかになった。これらの主要な知見を整理し、情報社会の先進国でもあるスウェーデンの企業組織の動向と日本のケースとを比較検討し、最終的な報告に盛り込みたいと考えている。
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