研究概要 |
あたらしい環境理念の形成においては,グローバルな場とローカルな場という両次元の相互作用によって創発してくる「地球環境への意識」に着目する必要がある。今回のプロジェクトでは,学際的な見地から,ミクロ生態学的な「アフォーダンス」という概念を社会的に拡張し,あたらしい環境理念がいかに形成されうるのかをさぐる。本年は,「持続可能性」についての関連研究をすすめつつ,従来の研究をふまえて「アフォーダンス」概念の再定位をおこなった。具体的な作業は以下の通りである。 (1)慶應義塾大学大学院理工学研究科総合デザイン工学専攻環境親和工学専修における研究教育-「グローバライゼーションとテクノサイエンス」と題して,イノベーションの空間経済と今後の創発的な次世代技術開発について講演と演習をおこなった。さらに環境負荷が少なく,クリエイティヴなコミュニケーションを促す「環境親和オフィス」共同プロジェクトにおいて,サブカルチャーと学術研究・職場環境を「場」の概念で接合をはかった。また,視覚障害者の触覚とアフォーダンスについて研究考察をふかめた。 (2)慶應義塾大学メディア・コミュニケーション研究所小川葉子研究会における研究教育-昨年の三田祭プロジェクト「永遠のedge/自己組識化する断片:品川インターシティの空・海・大地」のまとめにおいて,臨海地区都市再開発を3種類のアフォーダンスから再考し,本年度のプロジェクト「Living otherwise<別のやり方で暮らす>:移動と居住のカルチュラル・スタディーズ」では,ミクロ環境の住みこなしと100年建築という持続可能性の模索をはかった。 (3)関東社会学会グローバリゼーション研究部会委員としての活動-政治・経済・文化からみたグローバライゼーションと,環境とグローバル・ガヴァナンスについて研究・企画等に従事した。 (4)国際学会(Society for the Social Studies of Science)における活動-グローバライゼーションとデザイン研究を社会理論を小まえて研究発表をおこなった。
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