P.ブルデューの反省的社会学と場理論に視点をおいた本研究は次のような結果に達した。第1に、生活福祉場の組織化を規定する社会的構造的前提条件を明らかにした。すなわち、場の形成に働きかけ、あるいは参加する市社協と地区社協が、国・市の行政体、上位団体と地域生活、市民生活との中間に占める位置的構造にあり、それが活動戦略の位置のとり方に両義性を、同時に活動の組織化をリードするキーパーソンの兼担を余儀なくさせている。第2に、市社協の事業活動は4段階に区分されるが、運動型に軸足をおいたり、事業型を重視したりする両義的戦略が見られ、また第3期中頃以降事業型社協へと傾斜を強めている。その重要な活動の決まり方は指定-受託および指針という形式をとって事業化・組織化される。この形式の意味は重要である。第3に、地区社協レベルにおける2つの活動の場の組織化は地域特性との関連および性別役割分業の伝統的形態とのからみで、民生委、地区社協、町内会、ボランティアのいづれかが中心になったり、あるいは連合、兼担したり、地区独自のスタイルをとる。どのスタイルをとるかは中間的位置構造に条件づけられた町内会自治活動の力関係と関連し、またその差異は生活福祉場の優位性を生むかも知れない。
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