在日外国人の諸問題の多くが、市役所その他の公的機関の積極的対応がなければ、解決が不可能であるが、一方多くの問題が、公的機関が対応しにくい非登録外国人(いわゆる不法外国人)に発生している。この矛盾を埋めるためには、いわゆる不法外国人を含めて支援活動を行っている民間支援団体と公的機関の何らかの協力関係が不可欠であるというの本研究の出発点であった。 本年は多文化共生センター他数箇所の聞き取り調査を実施したが、公的機関と民間機関とは予想以上に友好的な協力関係にあることが分かった。しかし、この協力関係は、民間機関から公的機関へという一方向的な色彩が強い。この原因はなにより、いわゆる不法外国人にとって公的機関の門がほぼ閉ざされていることにある。国際交流協会のような第三セクターがこの公的機関の壁をある程度緩和するのではないかと考えたが法の壁を設ける意味では公的機関と大差ないように思われる。多くの国際交流協会が役所から独立しておらず「仕事の分担」にとどまっている以上、これは仕方がないかもしれない。 本研究の主題ではないが、民間支援団体間の協力も進んでいる。調査したカトリック系支援団体でも、宗教や宗派を越えた協力関係がなされている。全国支援団体ネットワークの「移住労働者と連帯する全国ネットワーク」の聞き取り調査でもこの点は印象的であった。 本年は進行中の調査票による調査と聞き取り調査により、報告をまとめたい。
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