愛知県豊田市H団地で、日系ブラジル人がどのような地域生活を送っているかをみるために、今年度は彼らの生活をサポートするNPOについて調査した。現代は日本人も既存のシステムでは生活課題が充足できない状態になっている。まして外国人居住者は既存のシステムにさえアクセスが困難であったり、システムが十分理解できずに利用不可能である場合がある。そしてその上、これらのシステムでは自らの欲求が充足されない場合がある。現在H団地では、日系人をサポートするための日本人によるNPO、日系人自身によるNPO、そしてNPOをコーディネイトするためのNPO(豊田国際交流協会)、そして日本人住民による自治区を基盤とするNPO(「明るくする会」)などがみられる。こうしたNPOだけでは決して十分ではないが、外国人住民にとって不可欠な日本語教育、学童保育、医療などがサポートされ始めた。現在、法的な面での「システム共生」(小内1999)はローカル面でも成立していない。部分的にでも外国人住民と日本人住民の間で不平等や格差が是正されるためには、双方の生活課題をどのように解決していくか政策提言をしつつ法改正をしていくほかはない。 14年度は、外国人居住者の生活支援についてより詳細な聞取り調査をし、何を補充すれば日本での生活がより充足されるかを検討する。行政レベル、居住地での生活レベルでそれぞれ考える。また日本人住民の側からみると、外国人住民の集住という新しい事態をどう受け入れるか、既存のシステムでは機能不全となっている点を検討する。そして両者がより理解を深め、快適に居住できるためにどのようなシステムが必要かを考える。
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