本年度は、典型的な衛星都市にあるA保育園とB幼稚園を対象として、まず地域に開かれた保育プログラムの実践に関する検討をおこなった。その上で、実践された保育活動についての情報の公開を試みた。 A保育園は地域に所在する施設の高齢者や高齢障害者との交流を保育のバリエーションとして取り入れており、B幼稚園は地域における未就園児とのふれあいの場を平常保育の時間内で定期的に設けている。いずれも本来の目的は、在園児の豊かな社会性や人間性の育成であり、心豊かな子どもたちに育ってほしいという願いのもとに実施されているプログラムである。ここでは、この活動のようすを観察、記録するとともに、そこで得た保育活動に関する情報をいかに公開するかという検討をおこなった。具体的には、メディアによる公開を試みた。特に、A保育園においては記録した画像を使用し、パーソナルコンピューターによる『あいの/のびのび・ふれあい通信』の作成を実施した。作成にあたっては、公開内容や公開対象に関する現場の保育者との十分な連携、と同時に単なる「お便り」や「園だより」に終わらないよう、設備備品を十分に活用したビジュアル化の2点について、実践的な検討を試みた。保育者や保護者の声をもとに改善を試みながら、『あいの/のびのび・ふれあい通信』は第6号を発行した。 現在、公開した情報に対する調査を実施中であり、今後はそれらの分析をとおして、情報の提供と子育て支援の関連性についてさらに検討するものである。
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