A保育園とB幼稚園において実施されている保育プログラムについて、その実践のようすを観察、記録すると同時に、情報公開をメディア(「通信」)により実施してきた。特に、A保育園の「通信」の作成にあたっては、単なる「お便り」や「園だより」に終わらないよう設備備品を十分に活用したビジュアル化を図った。 「通信」による定期的な情報の提供を実施後、「通信」が果たす役割について、夫婦間・母子間・父子間のそれぞれのコミュニケーションへの影響度から探るため、保護者を対象に質問紙法による調査を実施した。5段階評定による調査結果の分析と、コミュニケーションの様相や保育プログラムに対する意見・感想の検討から以下のことが明らかになった。 1.80%前後の父母が、「通信」が子どもとの交流の上で役に立っていると評価した。 2.父母(夫婦)間のコミュニケーションへの影響度も、肯定的な回答が父母共にに80%以上だった。 3.父親の方が子どもや妻とのコミュニケーションの有効な媒体として「通信」が働いていた。 4.「通信」により地域に開かれた保育プログラムそのものへの理解が深められ、取り組みのねらいなど十分に把握した上で全面的に賛同する父母の態度がみとめられ、ますます園と家庭との相互理解の絆が深まっていることがわかった。 以上のように、園からの情報提供を通して、家庭の中でのコミュニケーションが活性化し、それがより深い園と家庭との信頼関係へとつながるという、相互に支え合う関係性がみとめられた。そのことは、子どもたちの発達を保障する場(園も家庭も)がますます充実するという意味において、情報の提供が子育て支援機能を十分に果たしうるといえる。 今後は、新しく開園した本学附属保育園においてさらに継続検討すると同時に、動画による情報公開の実践的研究も進めていきたい。
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