本研究の成果は次の二点にまとめられる。 第一に、探究共同型の総合学習は、授業展開における「主題設定・探究調査活動の展開・活動のまとめ・事後の評価と今後の課題」の各場面について、子どもたちが主体的に参加することが求められるということである。その際の課題は、子どもたちが教師たちと共同決定しうるための能力、すなわち課題設定(テーマ決定)を含めた授業構成への子どもの参加能力を、発達的見地からどのように高めていくかという点である。 この点について、探究共同型カリキュラムを、(1)教師提案-教師決定型から、(2)教師提案-子ども関与(選択)型へ、さらに、(3)教師と子どもの共同決定型へ、という授業内容構成における三段階の発展構想として考えた。さらに、この三つの段階を、教育内容(テーマ設定)と教育方法(学習スタイル)の二つの次元と組み合わせ、六つのカテゴリーを設定し、総合学習における参加の発展を見通した実践構想を検討した。 第二に、探究共同型の総合学習は、その授業展開において、子どもたち相互、子どもたちと教師、あるいは地域の人々や保護者などの多様な「共同」が求められるということである。 単なる、子ども一人ひとりが別個に課題を設定して探究活動を展開していく「個別学習」の様式だけではなく、他者との共同場面、すなわち「共同学習」を、授業プロセスの全体にわたって、いかに創り出していくかが必要となるということである。 本研究では、部分的に教育実践を通して、教室外の地域や多様な人材の有効活用といった側面から、小学校における探究共同型カリキュラムの模索を、大学生と子どもたちとの共同学習という形で検証した。総合学習では、探究共同のあり方の多様性を模索することが求められる。
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