本研究は、東北地方にある高退学率を示す非進学校で、生徒の退学指向がどのように構成され、またその決定がいかになされるのかを明らかにしようとするものである。本年は、以下のような調査を行い、成果を得た。 1.在籍生徒に対する質問紙調査及びインタビュー調査 学校・家庭生活、友人関係等に関する質問紙調査を、抽出したクラスの生徒について実施した(過去3年間継続)。その結果をみると、退学意思のある者が全体の6割強に及んでおり、学校生活に対する意欲喪失や逸脱傾向がみられた。生徒へのインタビューでは、教師への批判や校則への嫌悪が語られる場合もあったが、一方で学校・教師への無関心や家庭内に自閉する傾向も語られた。 2.退学者へのインタビュー調査 退学者調査の予備調査として、特定クラスで退学した生徒について、電話調査を試みた。しかし、転居等による連絡不能などもあり、予定どおりには実施できなかった。少数の結果だけからいえば、現在の生活に満足し、時間に縛られる学校生活を続ける気はいまもしないという意見がみとめられた。 3.教師へのインタビュー調査 こうした結果を踏まえて、教師に対するヒヤリングも実施した。調査結果については、おおむね予想どおりであるとする意見が多く、退学と「不登校」との区別がつきにくくなっていること、また生徒の現状に対応した教育活動に限界があることなどが指摘された。
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