中教審答申『今後の地方教育行政の在り方について』は、社会変化に対応する教育改革を進めるために教育委員会に対して自主的かつ積極的な教育行政を求め、その制度=機構、学校との関係、地域社会に対する役割において自己革新を要請している。こうした期待の高まる中で、各地の教育委員会がいかなる対応を行っているのか、その政策・制度の動向を探るために、すべての都道府県教育委員会を対象にしたアンケート調査を実施した。アンケートは、1.教育委員会の組織・運営の新しい動向、1)委員の選任、研修、定数 2)事務処理体制の充実、3)地域住民への対応 2.教育委員会と学校との関係、1)学校管理規則の見直し、2)学校への指導・助言、3)人事、研修、予算、4)校長人事・研修、3.「総合的学習の時間」に関する指導・助言、4.都道府県教育委員会と市町村教育委員会、5.都道府県教育長の5つのパートから構成された。32の教育委員会から回答があり、回収率は、68.08%であった。 まず、組織・運営の動向であるが、全体として再編の動きはまだ活発ではないが、知事部局との連携機構、事務局や事務所の専門的職員の充実・強化策、カリキュラム・コーディネーターの設置、教育研修センターの改革、教育モニターの設置といった新しい動きが生まれている。学校との関係では、学校管理規則の見直しの動きは予想以上に鈍い。学校への指示・命令と指導・助言の峻別のための工夫を講ずる動きや学校訪問のあり方を見直す動きも出始めていることは注目される。「総合的学習の時間」に関する指導・助言に関していえば、半数以上の教育委員会が対応を行っている。市町村教育委員会との関係では、指導通知のあり方を見直す動きが多くの教育委員会で始まっていることが、市町村教育委員会の自律性を尊重する動きとともに注目される。
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