研究概要 |
1.わが国および諸外国の大学院教育とくにその修士課程レベルの教育の制度と実態を、大学のカタログ、要覧、履修案内等を含む各種の資料の解析等によって明らかにした。その結果、わが国の大学院では、諸外国に見られるプロフェッショナル・スクール的な大学院教育と、研究者養成のための大学院とが、未だはっきりと分化していない現実が分かった。 2.わが国の大学における管理運営システムの特徴を、教授会万能という考えに見られるごとく、専門家集団による支配とその集団的意思決定メカニズムに着目して調査した。その際、わが国の企業や諸外国の大学における管理運営システムとの比較を行い、大学に固有の特徴を明らかにした。また、大学の管理運営システムは、近年の高等教育をめぐる急激な環境変化の中で、その改革が期待されている背景も調査した。これらにより、改革後の大学運営を担う人材養成が急務であることが分かった。 3.大学の管理運営システムやそれを担う管理職員および事務職員の実態や、職員の意識を調べるため、全国の国公私立大学の事務局長および30歳〜40歳代の中堅職員1,298名を対象にアンケート調査を行った。その結果、国立および公立の職員は、意思決定を担うべき幹部職員が一箇所の大学に定着していないことが明らかになるとともに、多くの職員が彼らの能力アップのための何らかの方策の必要性を感じ、また修士課程プログラムの設置の必要なことに賛同していることが分かった。
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