研究概要 |
2001年2月、全国の国公私立大学の事務局長(相当職を含む)および30〜40歳台の中堅職員約1,300人に対してアンケート調査を行った(回収率68.2%)。その結果、大多数の職員が何らかの能力向上方策を必要と考え、とりわけ経営戦略等の企画能力の向上に関心があることが分かった。 国公私立大学間で大きな違いがあるのは、当該大学における勤務年数である。つまり私立に比べて、国公立の事務局長はその年数が極端に短い。その上、公立では中堅職員についても短い。国立大学では、有能な事務局長の長期安定的確保を考えるのは当然であろう。さらに公立では、大学職員そのものの専門性育成が課題ではあるまいか。職員の学歴構成の違いは、隠れた人気職種としての私立大学職員を裏付けている。 能力向上方策については、修士課程プログラムの有効性を支持する意見は、事務局長44.0%、中堅職員47.7%であり、既存の研修制度の方がよいとする意見(それぞれ42.4%、40.5%)より多かった。受講内容としては、経営戦略等の企画能力の向上、知的財産権の処理など最近注目されている新しいタイプの専門知識に関心が高く、日常的事務処理能力の向上については低かった。 さて、以上のような能力向上策を実際に生かすには、優秀な職員が大学の中でもっと積極的に活躍できるような場も必要である。これからの新しい大学経営にあっては、職員の立場をより積極的に考えるとともに、教員・職員の区分を超えた第三のカテゴリーつまりは「大学アドミニストレータ」とでも呼ぶべき新たな経営人材を積極的に養成・登用し、大学として一体的に活動していくことが必要であろう。
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