研究課題/領域番号 |
12610239
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
斎藤 佐和 筑波大学, 心身障害学系, 教授 (00015819)
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研究分担者 |
佐藤 晋治 筑波大学, 心身障害学系教, 助手 (90323237)
鷲尾 純一 筑波大学, 心身障害学系, 助教授 (80220854)
四日市 章 筑波大学, 心身障害学系, 教授 (20230823)
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キーワード | 聴覚障害教育 / 聾学校 / センター的機能 / 特別支援教育体制 / 連携 |
研究概要 |
平成14年秋に出された文部科学省の「今後の特別支援教育の在り方について」中間まとめでは(3月末に最終報告発表予定)、今後の新しい特別支援教育体制の中で、盲・聾・養護学校が地域の障害児教育のセンター的役割を果たすことを強く求めている。本研究は、特殊教育体制から特別支援教育体制への転換期に当たり、聴覚障害教育において聾学校がこれまでに蓄積してきた人的・物的教育資源を、地域で有効に活用するためのシステム構築に資することを目的としている。 本年度は全国106校の聾学校が近年進めてきたセンター的役割について、子どもの年齢段階に沿って、乳幼児・幼児期、義務教育段階、高等部段階、卒業後の時期に分けて実態調査を行った。聾学校では30年を越す乳幼児教育相談の歴史があり、また平成13年度から始まった通級による指導など、既にかなりセンター的機能を果たしていると考えられるが、その実態を現時点で明らかにすると共に、先進的な事例の情報を共有化することを目的とする調査である。 106校中、93校からの回答(88%)があり、現状を分析するのに十分な資料となった。結果から、新生児聴力検査の普及に伴う乳幼児教育相談の増加や早期化、巡回による指導・サテライト校での指導など多様な形態での通級による指導の拡大、高等教育機関への入学試験や入学後の情報保障への支援の開始、地域に対するサービスの増加など、近年の変化が裏付けられた。現在、研究成果報告書の作成に向けて、さらに詳細な分析を行っているが、今後は特に、義務教育段階において、通常の学校、あるいは通常の学校に置かれた難聴学級や通級指導教室で学ぶ聴覚障害児の教育に対し、聾学校が人的・物的にどのような支援機能を発揮できるかが問われるようになると考えられる。このため2年目に実施した難聴学級等の聾学校への期待に関する調査結果とも併せて検討し、聾学校が地域の聴覚障害教育のセンターとして機能するためには、関連機関とどのような連携システムを構築することが望ましいかをまとめたい。
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