研究課題/領域番号 |
12610240
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
篠原 吉徳 筑波大学, 心身障害学系, 教授 (10150054)
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研究分担者 |
東原 文子 聖徳大学, 人文学部, 講師 (60272150)
前川 久男 筑波大学, 心身障害学系, 教授 (50165635)
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キーワード | 教科学習に困難を示す子ども / 算数の学習 / 個別教育計画 / 特別な教育的ニーズ / whole school approach |
研究概要 |
昨年度、英国における、いわゆる軽度の発達障害のある子どもたちに対する教育実践の視察を目的に、英国の私立学校3校を訪問した。これら3校は、いずれも、「学習障害」のある子どもを入学させて、特別な教育的ニーズに着目し、そのニーズに合致すべく、適切な教育的サービスの提供に努めている学校である。本研究は、個別教育計画を活用した、教科学習に困難を示す子どもへの教育的支援のあり方を追究している。このことを達成させるために、上記の学校を含め英国の学校(special schoolはもとより、公立の、primary schoolやsecondary school)における試みから、特別な教育的ニーズの把握の仕方、さらに、それらに基づく個別の教育計画の作成手順等を学ぶとともに、教育的支援の方策を探ってきた。これらの研究成果を、わが国の公立小学校に通い、「通常の学級」に籍を置き、しかも、通常の学級の授業に参加する、教科学習(本研究では、特に算数に焦点を絞っている)に困難を示す子どもたちへの教育的支援に適用した。個別教育計画を活用した、教育的支援の有効性が示されたが、それ以前に、学習の困難を、「障害」というよりは、「特別な教育的ニーズ」として捉えた上で、指導内容・方法を検討していくことの重要性が明らかにされた。現在、英国は、インクルージョンに取り組んでいるが、この具現化に寄与するのがwhole school approachである、と考えられている。指導事例より、教科学習に困難を示す子どもたちの、通常の学級における授業の参加を促すためには、「特別な教育的ニーズ」という概念に基づき、学級担任も教育的支援に直接関与するwhole school approachの必要性が提案された。
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