研究概要 |
平成12年度にはインタビュー調査および予備的質問紙調査を通じて、次のことを明らかにした。算数指導においては、数や図形に関わる基礎概念の指導に困難を感じている教師が多く、学級経営においては、保護者の価値観の多様性を背景とした子どもの規範意識の低下が問題と感じられている。そうした問題の解決に向けて多様な工夫を行っている教師とそうでない教師が存在している。また、学校としてもそのような問題の解決に向けて組織的努力を行っている学校とそうでない学校が見られる。 平成13年度には関東地方の小学校の第4学年担任教師に郵送により質問紙調査を実施した。調査対象者は関東地方の小学校4年生担任教師1,080名で、2001年10月から11月にかけて郵送法で実施した。その結果、次のことが明らかになった。 (1)算数指導において「学力の高い児童に進んだ学習を身につけさせること」や「数学的な直感を養うこと」、「論理的な考え方ができるようにすること」を重視している教師は、多様な指導方法をとる傾向がある。 (2)学校教育目標や学年の教育目標の達成に配慮する教師ほど多様な指導方法をとる傾向がある。 (3)さまざまな面でアイディア獲得の努力を積極的に行っている教師が、より多様な算数指導方法を用いる傾向がある。 (4)ティーム・ティーチングという具体的な取り組みばかりでなく、教職員の間の相互理解や共通理解の形成が算数指導方法における多様な取り組みにつながっている。 (5)より多様な指導方法を用いることが算数指導のねらいが達成されているという認識につながっている。
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