本研究は、青少年のメディア・ライフとそこでの人間関係や生活意識を、教育社会学、文化心理学、保育学の各分野から多角的に考察することを試みたものである。質的な方法論による丹念なデータ収集を重視し、生徒指導上の課題が浮かび上がるように努めた。各々のプロジェクトの知見は下記の通りである。 1)首都圏の小・中・高校における児童生徒のメディア接触に関する聞き取り調査:小・中・高校生、約150名の児童生徒を対象に、携帯電話とテレビゲームの使用状況、およびそれを媒介にした友人関係や見知らぬ他者との出会いについて調査を実施した。その結果、携帯電話の普及による変化の1つは、コミュニケーションの相手と手段の選択性が高まったことである。テレビゲームに関しては、それを介した友人関係の形成が認められた一方で、「ひまな時間」という時間感覚の中でゲームが用いられている様子が描かれた。 2)幼児のコンピューター利用に対する幼稚園保育者の意識調査:首都圏の公立幼稚園に勤める保育者約30名を対象に、幼児のコンピューター利用の是非に関する意見とその理由について聞き取り調査を実施した。その結果、保育者はコンピューターに対する嫌悪感が強いのではなく、幼稚園での保育の中にそれを取り入れることや、幼児期からのコンピューター使用について否定的であることが明らかになった。 3)都内小中学校の児童生徒に対する質問紙調査結果の分析:昨年度実施した児童生徒の生活と意識に関する調査データを用いて、情報化社会の進展が子ども達の生活に及ぼす影響について分析を行った。その結果、小5においてはビデオゲーム遊びと問題行動の間に関連が見られたが、中2においては関連が見られないことが明らかになった。
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