本年度は、特にいくつかの典型的な事例学区を比較しながら、同僚教員評定システム上における評価基準等に関する分析を中心に研究を進めた。比較の対象としたのは、オハイオ州トレド学区、カリフォルニア州ポーウェイ学区、そしてNBPTS(The National Board for Professional Teaching Standards:専門的教授活動標準に関する全米委員会)の評価基準等である。 その結果、トレド学区(23)、ポーウェイ学区(18)、NBPTS(11)の基準数であることが判明した。加えて、ポーウェイ学区ではそれら18の基準をさらに73の小項目に細目化している実態が明かとなった。これらの基準内容の分析から評価を担当する同僚教員には、以下の資質・能力が重要であると考えられた。(1)生徒の実態把握能力(生徒や生徒が学習する方法に関する知識、生徒の差異を的確に分析認識する能力)、(2)教科内容とそれが具体化されるカリキュラムに関する知識、(3)適切な態度行動、学問的な学習、自尊感情を促進する暖かく、しかし能率的な教室・学習環境を創出、維持管理する、能力、(4)適切な学習教材やそれら教材を使用する差異に用いられる教育技術に関する知識、(5)生徒の学習を促進するための評価結果の活用とその結果を生徒や親へ伝達する能力を含んだ、評価技術、(6)学校の円滑な運営に関する責任を共有するとともに、教職の改善へ貢献する責任を甘受する意思、である。 これらの研究成果は、近々関連の研究学会へ報告し、紀要等に掲載公表する予定である。
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