研究概要 |
平成13年度においては、第1に、引き続き1990年代のアメリカの教育改革における教員評価・教員資質向上に関する、アメリカの雑誌論文・著書の収集に努めた。第2に、カリフォルニア州デイビス市のデイビス合同学区教育委員会および同学区立学校を訪問し、教育研修制度関係資料を収集するとともに、実態を調査した。第3に、収集した資料や知見について、昨年に引き続き、教職の専門職性の観点から、日本の教員の在り方との比較を念頭に置きつつ、検討した。 アメリカでは、全米教職基準委員会(NBPTS)による専門職基準は、大きな広がりをみせているとともに、年々その内容も充実せられてきた。そして、資格取得のための各種のインゼンティブを用意する州や学区の増加にも示されるように、委員会資格は一定に評価を受けるようになっている。しかし、その一方で資格の広がりとともに、とりわけ基準設定を中心として、批判的見解も登場するようになっている。教員評価システムについては、リーバス(Ribas,W.B.)によれば、今日ほとんどの職員団体の代表は、「悪い教員を守る」という評判を避けることに関心をもっている。論者のいうように、専門職団体の早期からの積極的関与は、教職の質的コントロールを専門職の責任において行うシステムをつくる点で、部分的には教職の専門職性の向上につながるといえよう。SBMと教員の姿勢との関係について、ヘス・ジュニア(Hess Jr.,G.A.)は生徒の学力向上への教師の姿勢を取り上げているが、SBMの下で学校の意思決定への参加、および教員のアカウンタビリティの強化は、教職の専門職性を高め、そして教職の専門職性を高めることが、教員の教育に対する積極的姿勢につながったといえる。以上は、検討の一端である。
|