研究課題/領域番号 |
12610253
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
榊 達雄 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 教授 (10022401)
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研究分担者 |
中嶋 哲彦 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 教授 (40221444)
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キーワード | 教員評価 / 同僚評価 / 教職の専門職性 / 全米教職基準委員会 / 資格 / インセンティブ効果 / 教師教育 / 少人数授業 |
研究概要 |
平成14年度においては、第1に、引き続き1990年代のアメリカの教育改革における教員評価・教員資質向上に関する、アメリカの学術雑誌論文・著書の収集に努めた。第2に、それらと前年度アメリカで収集した資料を分析し、検討した。第3に、教職の専門職性の観点から、日本の教員の在り方、具体的事例としては、愛知県犬山市の教育改革のなかでみられる教員の在り方との比較をしつつ、アメリカの教員評価・資質向上について検討した。第4に、最終年度のまとめとして、本研究全体の成果を整理して、研究成果報告書を印刷・刊行した(資料編を含め全404頁)。検討の端を示せば、次の通りである。 アメリカでは、教員組合の団体交渉対象が拡大される傾向にある。そのような変化の要因の一つに、同僚評価の問題がある。AFT地方支部は、1990年代半ばに同僚評価の交渉を始めていた。それは、教員を指導教員にしたり、初任者教員と問題をもっている教員の両方を評価する改革であった。インセンティブについて、ケリーらの主張によれば、全米教職基準委員会資格の取得に対する地域の理解を示し、教員による資格取得を促進する。委員会資格の取得は、教員個人の職能発達と学区における貢献において高い効果を有している。委員会資格のインセンティブによって促進され、資格取得の意義が強調されればされるほど、委員会資格への挑戦は「踏み絵」となって、挑戦しない教員や不合格になる教員のマイナス点が浮き彫りになる可能性がある。他方、同程度のインセンティブがあっても、資格取得者がそれほど多くない地域もある。これは、州の抱える事情の違いや州のほか学区のインセンティブの影響も大きいと考えられる。犬山市の教育改革では、当初より教員一人ひとりの教育力量の向上を目指し、地域・学校の教師の自己教育活動を必須の校正要素と位置づけている。
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