自然をどう見るのかについては、主体と客体という観点から考えると、次の3つの見方がある。ひとつは、自然を客体化してとらえる、テクノロジー的見方である。自然をモノとしてとらえ、人間にだけ意味のある目的にかなう道具として扱う見方である。ふたつめは、自然を主体化してとらえる、ホーリズム(全体論)的見方である。環境の保護のために、自然の権利を主張し、自然を権利の主体と見なすのは、この見方である。そして、みっつめは、自然を、客体と主体の相互関係によって構成された現実と見る関係論的な見方である。主体と客体の相互関係によって空間と時間の中に構成されるという次元で自然をとらえる見方を、ベルクは客体と主体の通態という造語で、表現している。 以上、自然についての3つの見方を検討しながら、自然との共生や環境倫理ということを視野に入れるならば、社会科においては、自然に対する関係論的な見方、まなざしを育てていくべきであることを、明らかとした。 そして、そのような関係論的な見方を、風土論的アプローチがどのように育ててきたか、また、課題は何かについて考察した。具体的には、環境税についての小論文指導の授業研究及び、その小論文の評価を行った。また、最後に、関係論的な認識の評価によって「関心・意欲・態度」の観点の評価をしていくという考え方を提示した。
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