研究課題/領域番号 |
12610259
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
皇 紀夫 京都大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (40077392)
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研究分担者 |
岡田 渥美 神戸女子大学, 文学部, 教授 (70027960)
田中 毎実 高等教育教授システム開発センター, 教授 (70093432)
山崎 高哉 京都大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (60068749)
大西 正倫 佛教大学, 教育学部, 教授 (40169016)
中村 清 宇都宮大学, 教育学部, 教授 (20030033)
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キーワード | 公共性 / 公と私 / 教育責任 / 人間形成論 / 合意形成 / 超越 |
研究概要 |
1.今年度は、研究代表者・分担者に加えてll名の研究協力者の参加を得て、まず8月の研究合宿に向けて各自の研究論文の執筆を行った。研究合宿では、各自の論文に基づいた議論を通じ、昨年までの共同研究で形成された以下のような視点--すなわち、(1)教育における公共性の問題を従来のようなイデオロギー的言説空間から解放し、あらためて人間存在の全体構造から原理的に問い直すこと。(2)<公>と<私>の問題を国家や個人といった二項対立的な実体概念として捉える従来のパターンから脱却すること。(3)<公>なるものを考える際に、近代市民社会に特有の啓蒙合理主義的な合意形成に基づく公共性という、いわば水平方向のみならず、人間存在における宗教的な超越の次元、形而上学的な価値の次元といった垂直方向での議論展開を通じ、新たな公共性の理念を創出すること。(4)上記を踏まえて<公>と<私>の問題を、人間存在と教育そのものに関する原理的な問いとして再定立すること。--を、あらためて吟味すると共に、議論の構造化を模索した。 2.研究合宿での議論を踏まえて各自の論文の書き直しを行い、1月末までに集約、研究成果報告書への編集の作業を通じて、さらに研究代表者・分担者で議論を行い、全体としての構造化に努めた。報告書では、まず教育に右ける<公共性>の問い方自体を検討するメタレベルの議論から始まり、国家、性、ナラティブ、臨床、美といった多様な視点からの<公>と<私>の基本構造の解明が続き、最終的に、教育における<公共性>を考える際、今日でもなお、超越の次元への問いが不可欠であることが論じられている。
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