ポーランド、独、英などの平和博物館並びに軍事博物館を訪問して資料収集を行った。フィンランドで開かれたIPRA(国際平和学会)大会で、"The Role of Peace Museums in the Construction of a Culture of Peace"のテーマで学会報告を行い、平和博物館と軍事博物館の社会的機能と展示内容について比較モデルを報告した。 『防衛白書』掲載の自衛隊の広報施設に対して、郵送による質問調査を行った。自衛隊の広報施設は2000年現在では128館ある。調査項目は、開設年、1999年度の訪問者数、概要を示す資料や入館者用のパンフの有無、開設年度から1999年度までの訪問者数、などである。調査対象の128施設の内、91施設より有効回答を得た。1960年頃から、戦前の軍事博物館が再開し、例えば戦後閉鎖されていた江田島の海軍の教育参考館が、海上自衛隊第1技術学校教育参考館として1960年に再開された。自衛隊の広報施設のうち設置年がわかるものを見ていくと、1960年代に設置されたものが44館で半数以上を占めている。広報施設の展示内容は、各種兵器を含め自衛隊の紹介と旧軍関係の展示品が中心である。1999年度の訪問者数については、1施設当たり平均1万人程度で、最大は浜松広報館・エアパークの34万人であった。 アメリカ合衆国の軍事博物館に対しても郵送で質問調査を行い、20館の軍事博物館より回答があった。アメリカの軍事博物館では、祖国のための戦争に関する展示を行うことにより、国防意識の啓発を目指している。軍事博物館は、入館者に祖国防衛の気構えを養成し、特に若い男女に対して、軍隊への勧誘を働きかける機能を果たしている。また、現役兵士にとって、軍事教育の場として軍事博物館が利用されている、などが明らかになった。
|