国内およびアメリカ車海岸の軍事博物館並びに平和博物館を訪問して資料収集を行った。2001月10月に、日本教育社会学会大会で、「戦争体験継承の考察(その3)自衛隊広報施設を中心に」のテーマで学会報告を行った。 自衛隊広報施設の資料分析により、次のような社会的機能があることが明らかとなった。1)記録:旧軍隊の装備品、制服、写真、ゆかりの品を収集し、旧軍活動について史料収集と資料保存(記録)の機能。2)顕彰:郷土出身部隊や将兵の武勲を知らせ顕彰し、また旧軍の特攻隊などの殉職者や、自衛隊員の殉職者の活動や遺影を展示して、旧軍隊および自衛隊の殉職者を慰霊・顕彰する機能。3)広報:自衛隊や防衛問題に対する関心を高め、自衛隊の必要性と国防の重要性への認識を高めるために自衛隊活動の広報。4)隊員教育:展示資料が自衛隊員の教育訓練に使用され、歴史教育と精神教育を行う隊員教育の機能。戦後の自衛隊の展示としては、自衛隊航空機によるスクランブル、湾岸戦争後の機雷掃海作業、カンボジアでのPKO活動についての展示がある。航空自衛隊浜松エアー・パークでは、展示内容が戦前の旧軍とほぼ切り離され、戦後の自衛隊中心の展示となっている。 アメリカ合衆国東海岸の軍事博物館への訪問調査では、各軍事博物餌が大きな施設と多様な展示内容をもっていることがわかった。アメリカの軍事博物館は、退役した航空母艦、戦艦、潜水艦、戦車、ミサイル、そして各国の軍用機、など豊富な実物展示資料を持っている。アメリカ軍事博物館の目的として、入館者にアメリカが戦った戦争の歴史を教えることにより、納税者に軍隊の必要性を説き、子どもを含めた青少年達に対して祖国防衛の愛国心を養成し軍隊入隊の勧誘をする機能を持っている。
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